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2008.12.07 (Sun)

国防とは共同幻想である。

公共財とはなにか、と問うときによくあげられる例は、道路、橋、公園、治安なとである。これらの財の特徴は無差別に複数の人間が同時に消費することもできる、という点にある。私的財とくらべると、これは財を消費すると、その財を他の人間が消費できなくなるので消費の「競合性」が存在するが、公共財はそのような競合性が存在しない消費の「非競合性」を特徴としている。また、公共財を消費する人間の選別は無差別であるから、消費の「排除不可能性」も大きな特徴としている。
このような財は価格をもって市場を通じて需給が決まるわけではなく、主に政府などの公的な組織により無差別な国民に供給されるわけであるから、どれだけ供給され、誰がどのような形でどれほどコストを負担すべきなのか、という議論は絶えることがない。

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市場メカニズムは本来的には需給の価格調整機能をもってパレート最適状態を導出させるが、公共財と指摘されるような正の外部性をもつ該当サービスを供給するときには過小供給をうみだしてしまうことがある。コストを払わなくても便益を受け取ることができるようなサービスの供給の場合は、これを市場経済にまかせた場合、著しく供給が過小になるこのような問題を「フリーライダー問題」という。その問題の源泉は、個別需要が求める内容が等価等質ではないからだ。しかし、社会にとっては必要な財であるから供給しなくてはならず、市場メカニズムで十分に供給できないからこそ、公的組織がこれに取って代わったり、補完したりする。市場の失敗のひとつの内容だ。


このような問題は、例えば地方自治体が提供する花火大会などはその典型例だろう。利潤を出さなければならない企業単体ではこのような事業を行うことは難しく、行政側が観光政策の効果も考えて、主に該当区に居住する市民に対して“夏のお祭り”という舞台を通してサービス(イベント)を提供する。このサービスを受給できるのは、無差別な市民であるのだから、特定の市民だけに提供されるものではない。これは市場メカニズムを通しては満足なサービスを提供できないのだから、「フリーライダー問題」であり、「市場の失敗」であろう。
別の公共財を考えてみよう。


やはり、公共財の問題を考えてみると、その定義において最大の問題は「国防」ではないだろうか。D.フリードマンも『自由のためのメカニズム』で相当部分をこの問題を取り上げているから、この扱いを適切に扱うことが難しいのだと考える。改めて公共財の性質を説明しなおすことになるが、公共財の特徴は「非競合性」と「排除不可能性」にある。国防においては、仮に相手国がわが国に攻め寄せてきたときに、国軍は政治家や著名な経済人だけをまもり、名もない女性や子ども・反政府活動家などは守らない、ということはできない。また、このような公共財が社会的に最適に供給されるためには、その公共財の供給の限界費用が、各消費者のその公共財に対する限界評価の合計と等しくなくてはならない。つまり、公共財を最適に供給しようと思えば、その公共財に対する各人の評価を正確に把握しておかなくてはならず、その評価に応じた料金を徴収して公共財供給の費用を賄わなくてはならない。ところが、費用の徴収に関して各消費者は、費用負担を避けるために、自分がその公共財にどれだけの価値を認めているかを決して正直に申告しようとはしないし、その価値算定をどのような基準ではじき出せるかという明確な知識もあわせもっていないのがほとんだ。この問題もさきほどの「フリーライダー問題」といえる。こうしたフリーライダーが存在するために、価格の調整という市場メカニズムを利用したシステムは機能せず、政府が税の徴収という形で、その公共財の供給費用を一括して徴収している。国防のための特別な料金の徴収などは現代日本社会ではありえないことがその理由だ(もちろん、かつての古代社会であれば国軍によって守衛してもらう権利は納税システムと直接的に明確に結びついていたと思うが)。


しかし、ここでひとつ考えたい。果たして、国防とは「供給されなければならないサービス」なのだろうか。そもそも、供給する政府や国家の正当性とは存在するのだろうか。そのほとんどが経済学者たちであるアナルコ・キャピタリストたちによれば、政府のない自律的な自由競争市場を理想とするために、この市場社会をおしすすめれば、強大な中央政府権力が管理する国防軍(軍というものは本質的には暴力装置であり、市民を圧制する可能性のある機関は必要ないという考えに発展するのだろう)は必要ない、と考えられている。そこまで過激化しなくても、リバタリアニズムも「市場」と「個人」という関係においては、その思想に類似している。国防というサービス、そして中央政府という供給者の存在を否定する論理はあげれば切りがない。戦後日本の左翼思想の巨人である吉本隆明(私個人は、彼は「神学者のふりをした神学者」だと思うが)の言葉を借りれば、市民社会を運営する経済体制(下部構造)から無関係に疎外された「共同幻想」(上部構造)は、個人をまもるために機能をもつはずなのに、個人を束縛し、弾劾する、という意見もある。国防機能は本質的には個人を守るのではなく、サービス機能の延長線である「戦争状態」で個人に死を強制させるから、国軍は必要ないという理論に展開される。


だが、私は企業(市場)のネットワークが広大な宇宙空間を被い、電子や光が駆け巡り、国家や民族という枠組みが消えてなくなるほど情報化される時代が到来するまでは、「国家」という「共同幻想」は国民・民族・市民にとって必要とされる外部記憶装置だと思う。その意味では、ファシズムやナショナリズム、パトリオリズム、グローバリズム、アンチ・グローバリズム、アナキズム、リバタリアニズムなどすべてレスプブリカ(共和国という訳ではなく、ここは共同体と訳したい)をベースにした表現を変えた同理論であるのではないだろうか。そうであれば、「国家」が政府、市民、歴史、文化、風景、その他有形無形のものが空間・時空的に抽象的に象徴化・結合化されたものであるならば、「共同幻想化」された社会において「共同連帯」サービスとして国防は公共財になりうると考える。


その最終的な政策表現がスイス誓約者同盟(スイス連邦)の国民皆兵制度なのではないか。スイス国民が国民皆兵という政策がもっとも自らの建国思想とあわせて最小の犠牲で最大の成果をあげることができ、パレート最適であると考えることができるのであれば、それはまぎれもなく最良の社会的余剰最大化政策だ。事実、ここ最近国際情勢の複雑化にともなって軍の近代化を推し進めるために、国民皆兵制度を廃止し、志望制度に切り替えようと国民投票が3回行われているが、いずれもスイス国民からは否決されている。


ひるがえってわが国の国防を考えればどうであろう。
公共財が社会的余剰最大化になるためのポイントは、その公共財の提供にかかるコストに対して納税者である国民・市民が妥当なものであると納得できるかどうかだ。
現在の日本の国防政策を社会的余剰を最大化させめために必要な政策は次の5つだと考える。


1)日本国憲法9条改正(2項改正のみでは1項に矛盾が出てしまう。しかし、国土防衛目的と同盟国防衛目的以外の個別自衛権と集団自衛権の行使に関しては、永久にこれを放棄すると書き記すべきだと考える)による「国防軍」の創設・規定、
2)徹底的な防衛省内会計改革、
3)衆議院安全保障委員会および参議院外交防衛委員会の組織強化改革と軍事機密法の制定、
4)予備自衛官制度の全国拡充化、
5)内閣総理大臣・防衛大臣・統合幕僚長のもとの軍内の明確な指揮系統の確立化


国防機能などは日常は機能せず(しかし、常に発動できるような緊張状態になければならないと思うが)、生活風景に無意識化されてはならないと思うが、「国防」という最終的な暴力装置を国民が認め、そのコスト運用に対して納得するためには、軍に対して徹底的な「信頼」がなければならない。


軍への信頼とはなにか。それは徹底的な綱紀の運用と正確に監査される軍事費の存在であると思う。自衛隊にはこれまで兵器調達費の問題、背広組と制服組の確執問題、不透明な軍事指揮権の組織問題、国会によるシビリアンコントロール権限の不在問題などがあった。国民の信頼なくしては、軍は成立しない。国防の社会的余剰最大化とはそのサービス内容からして、国民から尊敬され、信頼される組織を創っていくことしかありえない。


「共同幻想」とはそういう意味なのだ。






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