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2010.03.26 (Fri)

【台湾旅行日記】 2日め-その5。 【私は研究者である前にひとりの日本人です。---日本の一青年から受け取った手紙】

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李登輝先生の講義の時間になり、紅樹林駅の前にある台湾総合研究所へと向かいました。
先生との交流の時間は、およそ2時間30分。
ご体調があまりよろしくない状態なのに、こういう場所に出てきてもらうことには大変申し訳なく思います。

李登輝先生の講義の部分だけ、皆様にご紹介しようと思います。
(実はホカホカな文章です。いま、テープ起しが終わりました。疲れました・・・)

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 日本李登輝学校修学院訪台団の院長・久保田信之先生、久保田夫人、団員の皆様、こんにちは。ようこそ、台湾にいらっしゃいました。久保田先生からは、今日の講義で「最高指導者の条件」について話をしてくださいとのお願いがありました。最高指導者の条件については、いま堀さんが持っておられますように、すでにPHPから書物として出版されていますので、皆さんにはテキストとしてみてもらい、私は別に、最近非常に感銘を受けたことを、日本の一青年から受け取った手紙から「日本の一青年から受け取った手紙」と題して、お話ししたいと思います。

 いまの日本の若い青年のなかに、このように立派な人がいると思うと、日本は頼もしい国だと思わざるをえません。前置きとして、私はこの手紙の前に言いたいことは、私は長らく台湾の将来について自主的な国として台湾を維持する産業構造の改善を主張してまいりました。この構造はエネルギー再生を主要産業とする経済改革であり、研究の目標でありました。そのため、エネルギー再生に関する新しい研究室を開発しました。研究室の重要な研究員として日本から三人の学者を招聘する予定で、候補者にあがった三人の方々を台湾に招いて、研究室の見聞や環境をみてもらいました。三日間の短い時間でしたが、愉快で有意義な滞在を終えて、日本に帰国しました。帰国後まもなく、その中のひとりの若い青年から、次に紹介する丁寧なお手紙を受け取りました。七枚の便箋にびっしりと心を込めて書かれてある手紙を私は繰り返し読み続け、感激で胸がいっぱいになり、この文章を皆様にもぜひ聞いて欲しいと思いました。なにが私をしてそうさせたのでしょうか。それは長いあいだ、私が日本の若い人びとに告げたかったことそのままを、彼がその手紙に書き綴っていたからです。日本人の精神、日本文化の特徴・伝統、若い人の変革と価値をもつひとりの若い青年をみたからです。まず、彼の手紙を読んでから詳しく説明をいたしましょう。


李登輝先生 謹啓

 台湾にて閣下とご家族に拝謁できましたことは至上の光栄でありました。奥方様も決して体調がすぐれないなかご臨席賜り、恐縮の限りです。また麗しい李坤儀様にお目通りかないましたことも大きな喜びでありました。若輩たる私へ、多分な歓迎に心よりお礼申上げます。誠にありがとうございました。

 先日、雪の降り積もる日本に戻ってまいりました。帰りの機中において昂ぶる心を静めることができないほどに、すばらしい時間を過ごさせていただきました。見学させていただきました研究室は私の想像をはるかに凌駕し、まさしく私の理想そのものでした。これまで決して十分とはいえない環境で、毎日を過ごしてきた私にとっては、あらゆる設備を備えた広大な実験室は夢に思い描いていたような世界でした。一度でもこのような環境に身を置いてみたいと切望してまいりました。なにより、多くの方々のご支援が受けられることこそが私が渇望してきたことであり、まさに桃源郷と言うべき環境でありました。閣下より直々に台湾に来るようお言葉を頂戴し、直ちに台湾に移り住み、自分の思うままに研究を進めてみたいという抑えきれない高揚感を感じました。然れども、日本に帰国した後、心を静めて熟慮したすえ、以下二点の理由から今度の機会を辞退いたしたく申上げます。

 第一に、私はエネルギー再生を志す学者である前にひとりの日本人であります。常々、大学を卒業し、社会に出た暁には、日本のために働きたいと考えてきました。確かに、研究面においては、エネルギー再生は国から支援を受けることはできませんでした。しかしながら、大学において学問を修めるにあたっては日本国政府からの奨学金を受給してまいりました。この奨学金は将来の日本への貢献を期待されて支給されたものです。また研究において最も苦しかった時期には、幸運にして民間の財団から奨学金を受給するとができました。この奨学金基金もまた、資源に乏しい日本の立国とはすなわち技術立国に他ならないとの理念から、研究分野に関わらず科学技術を志す学生に支援を続けてきたものです。私はこの奨学金を受給できたことで、エネルギー再生の研究を継続することができ、さらにはこの奨学金をもとに出席した国際学会において、現在の指導教授に会うことができ、いまの大学へと進学する機会を得ました。現在、私が博士の学位を得ることができたのも、この奨学金のおかげであると考えています。したがいまして、これまで受給してきた奨学金の恩に報いるため、その財団の高邁な志を実現するべく、日本の立国へ微力ながらも尽力したいと考えております。また奨学金のみならず、今日の私があるのは、日本の社会・制度の賜物であると考えています。生活環境や治安、福祉、経済的な豊かさなど、学問とは関係ない分野において私が享受できた恩に対して、今後、科学技術の発展を通して報いていかなければなりません。その責任を果たさずして、直ちに台湾に移り住むことは、いかに閣下のご意向といえども、受諾することはかないません。まずは、日本のために我が微力を尽くし、その責任を果たしたあとに、再び閣下よりお声をかけていただく機会があれば、その時こそ自分自身の望みに従ってエネルギー再生の進展に全霊を尽くしたいと存じます。

 第二に、この度の研究環境は若輩たる私にとって過分な待遇であると存じます。出資者の王先生より「出会いこそが運命を切り拓いていく」とのお言葉を頂きました。確かにこれまで十分な支援を受けることができず、もがき苦しんできた我々エネルギー再生関係者にとって、この度の出会いが運命を大きく切り拓く一大転機となることを確信しております。然れども、私にはこの邂逅は賢明であるとはどうしても思えません。エネルギー再生の研究者はこれまで皆無にほぼ等しい支援しか受けることができませかんでした。しかし、このような不遇のなかにあって、この二十年間に多くの成果が積み重ねられたのは、一重に研究者の不断の努力によるものです。困窮する環境のなか、学会を先導してこられた先生方が重ねてきた努力は私には及びもつかないものです。エネルギー再生の研究を継続できず、職を終われた後、自ら資金を得て研究所を設立するべく、半導体開発の会社を設立した先生もおられます。すでに一億円以上の資金を得て、研究所の設立にまい進しておられます。そもそも、私がエネルギー再生に身を投じたのは、現象そのものへの興味ばかりではなく、多様な先人たちの堅忍不抜の高邁な志に胸を打たれたからに他なりません。先人が大変な苦労を重ね、現状を打破しようと暗中模索している最中に、私だけがそれを出し抜き、幸運を享受することは決してできません。エネルギー再生に限らず、日本国内には必死に働きながらも苦しい生活を強いられている方々が大勢います。このような方々は、私などよりもはるかにつらい現状に身を置いています。なんら苦労することなしに、運のみで富と権力をうる事には大きな抵抗を感じています。先般の奨学金において現在の大学の先生に巡り合えた事例とは異なり、この度の出会いには私の努力によって出会いが切り拓かれたという必然性が存在せず、単に運によってのみ支配されています。また私のような若輩では与えられた幸運に甘んじ、努力を怠り、次第に初志が薄れていくであろうと存じます。いずれ私が何事かを成し遂げ、名をあげ、自らの実力によって閣下に拝謁する機会があれば、その時こそ閣下のご支援を賜り、エネルギー再生の潮流にこの身を投じることが賢明であると存じます。

 いまこの機会を逸することは、私の人生にとって機を逸するのみならず、むしろ大きく後退することはかねがね承知しております。今後、生涯を通じてこれほどの機会も訪れないでしょう。しかれども、私にとっては人生の成功よりも、日本人としての誇りと志を堅持することこそが本懐であります。王先生から日本独特の思想が理解できないと言われました。閣下におかれましても、私の心の内を解することは難しいかと存じます。おそらくは、日本人の精神性に深く関係しているのかもしれません。閣下のご意向に沿うことができず、誠に申し訳ありません。何卒、私の心情をご理解いただきたく、お願い申上げる次第です。今後、台湾に定住することはかないませんが、教授から受けた恩に報いるためにも出来うる限りの支援は惜しまない所存です。半年に一度か一年に一度、あるいは台湾の研究室を訪れ、実地において協力することもあろうかと存じます。わずかながらも、私の貢献が閣下のご希望を満たすものであれば望外の喜びです。若輩たる私に台湾に来るよう閣下より直々にお言葉を頂戴しましたことは、生涯忘れません。今後、閣下のみならずご家族、ご関係者、また台湾国民の方々に対して、このご恩に報いていくことを固く誓約いたします。日台友好に微力ながらも尽くしてまいりたいと存じます。この度の過分な歓迎は、まことに恐縮の限りです。末筆ながら、閣下のご健康と台湾の未来を祈念しております。

謹言
平成22年3月21日


 この一通の手紙には、台湾訪問の状況とお礼が礼儀正しく述べられております。日本におけるエネルギー再生の研究に数々の困難と苦労があるなかで、この若き青年はそれをよく突破して、かなりの成果をあげています。彼の心には日本という祖国、その将来、社会の人々、同じ研究に身を置いている先生、同僚への感謝が十分に述べられています。彼によって表明される日本精神を述べてみましょう。まず第一に、日本の数千年にわたってしっかりと根幹から据えられてきた気高い形而上的な価値観や道徳観を彼は十分に持っております。国家の将来に関心を払い、清貧に甘んじながら、人間としてどう生きていくべきかを教えてくれました。公に奉じる精神の発露に、個人の栄誉を捨てる考え方は日本人でなければできないものです。第二に、自国の文化に対する貢献に、進歩と伝統が十分に表現されています。日本精神の本質としての公儀がよく現れています。第三に、人類社会は好むと好まざるとに関わらず、グローバライゼーションの時代に突入しております。このような大状況の中で、ますます私がなにものであるかというアイデンティティーが重要な ファクターとなっています。この意味において、日本人がもつ道徳体系を彼が持っているということは、日本の将来は頼もしいものであると私は信じております。

 これで終わります。なにか質問があればひとつずつお答えいたします。
 ありがとうございました。
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