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2009.04.19 (Sun)

そうだ、上野へ行こう 1

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少しまえ、スタッフといっしょに上野公園へ花見に行きました☆

でも、本当はぼくは花見の時期の上野公園はあまり好きではないんです。
桜が一番大好きなぼくにとって、花見は一年の中でもっとも外せないイベントです。
毎年、桜を見に、北の丸公園、靖国神社、小金井公園、砧公園などに行きます。
かなり多くの公園を回ります。
しかし、それでも上野公園には行きたくないのです。
(実は昔の彼女を思い出すから上野は好きじゃないんだろ、と仲間たちからは突っ込まれておりますがwww)

上野公園の花見のなにが嫌いか?
それは、ずばり花見客の態度です。
ぼくは上野公園で花見をするヒトの一部に、とても花見をする日本人としての資格がないヒトがいると思っています。

ただ宴会に明け暮れ、酔いに任せて、桜の枝を折っているヒトなどいませんか?
ぼくはこの桜の枝を折る、という行為がどうしても日本人のひとりとして許せないのです。
宴会をすること、桜の下で酒を飲むことを批判しているのではありません。
むしろ、そういう風に古来から楽しむものだと思っています。
しかし、桜を愛でなければならないはずなのに、桜を傷つけるような飲み方しかしないヒトが絶えません。

日本の桜の多くはソメイヨシノです。
この樹は寿命が60~80年ほどしかありません。
それも、大部分が昭和天皇陛下の即位を記念したものと、戦後に植えられたものばかりです。
ということは、戦後60年たつ現代は、もうすぐ桜が死んでしまう時期でもあるといわれているのです。
もちろん、新しく植樹などもはじめていると思いますが、この時期であるからこそ、なおさら桜を大切に扱わなくてはならないのではないでしょうか?

やはり、今年、上野公園の花見に行っても、上野公園には行きたくなくなりました。
上野公園には、現代日本人のおぞましい姿しか見えない、とぼくと思うのです。
みなさんは、どう思いますか?


毎年、読んで欲しいと思っているぼくのエッセイ(3年前に書いたもの)を載せます。
愚作ですが、ご笑読ください。



市長殿
花あわれ せめては あと二旬
ついの開花をゆるし給え

あるひとりのサラリーマンが、通勤の途中で一本の桜の樹が道路拡張工事のために伐採されているのを発見した。あと少しで花開く季節だった。

美しく咲くであろう桜が「公共政策」という名において、無残に切り倒されていく。花を愛するひとりとしてその光景をもうこれ以上見たくはない、そんな気持ちで歌を短冊に詠んで書き、誰にも気づかれないように、残る桜の樹々に吊るした。自分ひとりで公共事業をどうにかすることはできないが、せめてこの気持ちだけは市政のトップに伝えたい。彼たったひとりでの最大限のアピールだった。

幸運なことに、この短冊に気づいた地元新聞社の記者が、すぐ記事として取り上げた。たちまち同じように、花を愛する他の市民たちも短冊に歌を詠み、樹々に吊るしていった。しかし、工事が止まる向きは全くない。そんな時、数増えていく短冊の中にひとつだけ最初のサラリーマンが読んだ歌に対して返歌したものが、誰にも気付かれないうちに吊るされていた。

桜花惜しむ 大和心のうるわしさ
とわに匂わん 花の心は

詠み人は「香瑞麻」。
当時の市長の雅号であった。サラリーマンの桜を愛する気持ちが、同じ日本人として痛いほどによく分かる市長であったが、既に計画決定された事業を簡単に取り消すことはできない。その謝意と苦しさを込めた歌であった。だが、市長と市職員は最後まであきらめずに計画見直しに向けて密かに動いていた。何があっても公務の期限と予算の範囲はしっかりと遵守するべきものである、と今まで認識していた市職員たちも、花を愛する気持ちでは市民たちと同じであったのである。結果、工事は一部変更となり、該当区域の残りの桜はすべて保存され、整備された。今では市民たちの手によって桜は大切に守られている。誰ともない、ただ花を愛するものたちによって。

当時の市長は進藤一馬氏。二十二年前、未だ「バブル」という時代の中にあった福岡県福岡市のあるバス停近くのちょっとした桜並木で起こった話しである。

桜が花開く季節になる度に、また花開いた桜を見る度に、この話を思い出し、「桜と日本人」という関係に想いをはせる。桜はわが国の民俗学を開拓した折口信夫氏が主張するように、稲作文化の到来の頃から日本人と深く関わってきたことが指摘されており、「古事記」に出てくるサクラという言葉の語源となった木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の存在は、その神話の元となった富士山だけでなく、伊勢や浅間、甲府などの各地で祭神として崇められている。事実上の国花として古くから日本人に大変親しまれてきた花であった。現在では、江戸末期にオオシマザクラとエドヒガンザクラを交配して作られた世界最初の人為交雑種である、ソメイヨシノが日本の桜の八割程を占めており、桜の代名詞となっている。葉が出揃う前に花開き、静寂の中で散っていくという美麗性と生命性に日本人は自らの人生観を重ね合わせ、愛でてきたのだろう。

だが、そのように日本人が古くから愛でてきた桜は今や危機に瀕している。正確にいえば、ソメイヨシノが、であるが。ソメイヨシノは、その寿命が六十年から九十年と言われている。そして、現在のソメイヨシノの大半は、昭和天皇の即位を記念して植えられたものと、何もかもが焼け野原になった戦後に植えられたものが主流なのである。つまり、戦後六十年という時代の流れと並行して、現代のソメイヨシノの寿命はいま尽きかけようとしていると言っても過言ではない。追い討ちをかけるように、ソメイヨシノは接木によって苗木が作られてきたため、古くから日本列島に咲いていた他の自然種の桜と比べると、大変弱い樹なのである。ある意味においては、クローンの連続であったと言えるのだろう。

これは、現代日本人と似ていなくもない。姿かたちは、先人たちと同じでありながら、その自分の拠ってたつ思想や精神の強さというものを失いかけている現代日本人はクローン桜とどこかで似ていないだろうか。ソメイヨシノのように、我々現代日本人も滅びの鎮魂歌を口ずさみ始めているのだろうか。先人たちが現代の繁栄を築く上で、手に入れたものは多くあるが、それを継承しただけの我々現代日本人は手にしていないもの、無くしてしまったものがあるのではないだろうか。

 桜を愛し、桜と共に生きていく。それはまぎれもない日本人の姿だ。

桜を守り、桜を残していく。そして、新しい桜を植えていく。それが、我々現代日本人の「花守り」としての役目ではないだろうか。その時、我々現代日本人の心の中にも「旧き新しい桜」を植えることができるのだろうか。少なくとも、桜を愛ずることさえやめてしまえば、我々は日本人ではなくなってしまうはずだ。それは「クニ」を無くしてしまうことと同じことなのだと確信している。
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05:39  |  【 こんな処に行ってきました 】  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)

Comment

Re: 桜と日本人

> そんな事が有ったのですか?市長のお名前は
> 知っていましたが、そのような美談は知り
> ませんでした。元福岡市民としてお恥ずかしい!
> 桜と日本人、この関係は永遠に続くと思います。
> 桜の枝をオルような奴は日本人では無い
> ですね。

コメントありがとうございます。
今回のコメントは本当にうれしいです。
ぼくがもっとも現代日本の問題できにかけていることなので。

桜は福岡市南区桧原の沿道の桜並木のことです。
もし、福岡にお戻りになる時は、立ち寄られる時は、機会があればぜひご覧ください。

進藤一馬市長はぼくが最も尊敬する政治家のひとりです。
玄洋社最後の社長として有名な政治家ですが、日本人として大事な精神を福岡市民に示してゆかれた偉大なリーダーだったと思います。
もちろん、その行政手腕には批判もありましたが、あれもひとつのリーダー論だと思います。

福岡市民もこの話を取っているヒトが多いとは思えません。
もう昔のことですので。
学習研究社の道徳読本にもこの話が載ったことがあるのですが。。。

どのように時が移り、どのような試練が、われわれ日本民族に訪れようとも、桜を愛ずる精神だけは失いたくありませんね。
梅本大介 |  2009.04.19(日) 17:02 | URL |  【編集】

桜と日本人

そんな事が有ったのですか?市長のお名前は
知っていましたが、そのような美談は知り
ませんでした。元福岡市民としてお恥ずかしい!
桜と日本人、この関係は永遠に続くと思います。
桜の枝をオルような奴は日本人では無い
ですね。
台湾老鼠 |  2009.04.19(日) 12:39 | URL |  【編集】

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